サラ金業者からの借金

私が20代の時に結婚を意識した人は、某サラ金業者から数十万円の借金をしていました。知り合った頃はそんなことは知らず、お付き合いを初めて数か月経ち、結婚話が持ち上がってきた時に「実は・・・」と打ち明けられたのです。当時彼は自分の父親と同居していましたが、その父親が借金をする原因でした。父親は自分の生活に嫌気がさし、急に仕事も家庭生活も投げ捨てて、行方不明になったというのです。推測ですが、現在で言ううつ状態になっていたのかもしれません。その父親の居場所をようやく探し当て、家に連れ戻したところ、行方をくらました先で生活費がなくなり、たくさんお人からお金を借りて日々を暮らしていたとのことでした。父親は当時50歳になったばかりでしたが、その件で体を壊し仕事にも就けなくなったため、息子である彼が父親に代わって、借金を返すことになりました。それでサラ金に手を出したのです。サラ金は利率が高く、返済しているように見えて、実は利息分を払っているだけで、元本まで手が付いていないことが多いです。彼もそのパターンで、「毎月1万円ずつ返している」とは言っても、返済しなければならない金額は、彼が返済し始めてから数年たっても全く変わっていませんでした。私は彼に同情し、私が学生の時からアルバイトをして預金していたものを、一括返済に充てることを提案しました。私の両親には反対されましたが、それほど彼の境遇を憐れんでいたのです。周囲の反対を押し切り私の預金でサラ金の借金はすべて返すことができましたが、お金の問題が絡むと、これまで通りのお付き合いはできなくなります。彼の父親に対する私の感情も悪くなってしまい、結婚の話は消滅しました。今は「サラ金」という呼称も消え、不当に高い金利で貸し付ける業者もなくなりましたが、当時は高い金利を返済するために、別の業者からまた借り入れるという自転車操業に陥る消費者も多く、彼がそこまでにならなかったのは幸いと言えるかもしれません。しかしどんな状況になったとしても、安易に謝金をすることは自分の生活を壊してしまうことになりかねないのだと、私は恐怖さえ感じたのを思い出します。