バンドマンの夢と借金

音楽で食っていく!

中学の時に先輩がギターを掻き鳴らしているのを聴いて心惹かれた。お年玉を貯めて安いギターを買った。

友達と一緒にバンドを組んだ。

クソみたいな地元のスタジオが企画したコンピレーション・アルバムにも参加した。1バンド5万の予算だった。1枚2000円のアルバムだったから、25枚さばかないといけなかった。友人に何枚か買ってもらったが、余った分は自分達の手出しだ。

それでも楽しかった。

高校に入って、さらに音楽にのめりこんだ。ライブハウスには週の半分くらい顔を出した。

高校そっちのけで音楽にハマった。学校に行かない姿を見て親は泣いた。せめて、高校は出てくれと。親父に殴られた。仕方なく、高校は卒業した。

田舎育ちだったが福岡市に引越しした。専門学校に入らないかと高校の担任は言ったが、聞く耳を持たずにフリーターになった。

アルバイトとライブハウスとスタジオと家を行き来する生活になった。

音楽しかなかった。

いくら頑張っても芽は出なかった。

気がつけば、生活のため、活動のためと言い訳していた借金だけが残った。

工場を経営していた親が全額払ってくれたのでなんとかなったが、当時の仲間でいまだに借金を返し続けているやつもいる。

夢はやぶれて借金だけが残った話。