子どもが小学生になった頃、周りの家庭との“見えない差”が気になり始めた。学用品、習い事、季節ごとのイベント——必要なものが増えるたびに家計はぎりぎりで、夫に相談すれば「またお金?」と言われるのが怖くて、私はこっそりカードローンに手を伸ばした。
最初は本当に小さな額だった。1万円、2万円。それで気持ちが楽になるなら、と自分に言い訳をしながら借りた。子どもに我慢させたくない、その一心だった。しかし、一度借りると“また借りればいい”という感覚がすぐに染みついた。気づけば、習い事の月謝、誕生日プレゼント、修学旅行の積立金までカードで賄うようになった。
返済はしているのに、残高は減らなかった。むしろ利息で増えているのに、明細を見るたび「今だけ」「落ち着いたら返せる」と自分を誤魔化した。そんなとき、子どもが新品の運動靴をはいて嬉しそうに走り回る姿を見て、「私が頑張れば、この子は笑っていられる」と信じ込んだ。実際には、笑顔でいるのは子どもだけで、私は夜になると不安で動悸がするほど追い詰められていた。
限界が来たのは、返済日が重なった月だった。通帳の残高が数千円しかなく、どうしても支払いができない。初めて夫に「お金のことで話したい」と切り出した。震える声で借金の総額を伝えると、夫は呆れた顔をしたが、怒鳴りはしなかった。ただ一言、「なんで一人で抱えたの」と言われ、涙が止まらなかった。
その後、家計を見直し、不要な習い事を一つ減らし、夫婦で収支管理を共有するようになった。カードローンはまとめて再計画し、返済は時間がかかったが、精神的には以前よりずっと楽になった。
子どものためと思っていた行動は、振り返れば“自分の見栄”と“不安”を埋めるためだったのかもしれない。今は、必要以上に頑張りすぎなくていいと分かっている。子どもの笑顔を守るには、お金よりもまず親の心の安定が大切なのだと気づいたからだ。
