ギャンブル依存による借金地獄

“私はかつて、ギャンブル中毒でした。パチンコ・パチスロ、競馬、マージャン、競艇、競輪、闇カジノなどギャンブルと呼ばれるありとあらゆるものに染まっていました。軽く遊ぶぐらいだったらまだ良かったのかもしれませんが、私の場合は中毒になっており、お金がなくなれば友人を騙してお金を得たり、消費者金融機関からも借りていました。とにかく、ギャンブルをしている時が一番落ち着き、していない時は常にギャンブルのことを考え「今行かないと勝てない」などと考えていました。
当時仕事はしていました。しかし、ギャンブル依存だったことから会社のお金を横領したことがばれて1発でクビになりました。それからというものの新しい仕事を探すわけでもなく「ギャンブルに買って生計をたてていく」という無謀な考えをもっていました。貯金も瞬く間になくなり、そんな私に見飽きた妻は家から出ていきました。
しかし、私のギャンブルはやめられませんでした。貯金がなくなっても「次やれば勝てる」「今日の分を明日取り返す」という考えから消費者金融から借りるようになりました。しかし、ギャンブルに負け続けた無職の私に返済できる能力はありませんでした。消費者金融からの返済を何とか済ませるためにほかの消費者金融から借りる、ということを繰り返していました。いわゆる「多重債務」を幾度となく繰り返し、その結果消費者金融からは借りられないほどになっていました。気づけば目の前が真っ暗になるほど借金は高額になっていました。そして膨れ上がった消費者金融の借金を返すためについに闇金を利用しました。
当時の私には闇金の恐ろしさがわかってませんでしたし、違法機関だからと言って完全に舐めてました。
消費者金融と違って審査もほぼなく保証人もいりませんでした。必要な額を言ったらその場ですぐに貸してくれました。「なんて簡単なんだ」と思いまたギャンブルにあけくれました。ギャンブルしか見えてなかった私は闇金が簡単にお金を貸してくれたことでギャンブルをするお金が手に入り、本当に助かりました。
利子は消費者金融と違って「10日で3割」と驚くほど暴利でしたが違法業者なので消費者金融と同じだけの利子でいいとどこかで聞いたことがありましたので深くは考えませんでした。
しかし、利息の回収日になると案の定金融業者が家に来ました。私はギャンブルに負けて返せる余地もなかったので「あと数日待ってほしい」とお願いしたのですが、それが通用する相手ではありませんでした。土足で自宅に入ってきては金目の物を全て持っていき、「これで今回の利息分は勘弁してやる」と去っていきました。パソコンもテレビも時計も全部持って行かれました。
家賃の支払いさえ滞納していた私が次回の利息分も払える訳がなく、再びやってきた金融業者の呼び鈴を無視するとドアポストから消化器を噴射されました。死ぬかと思った私は思わず窓をあけ、その場でボコボコにされました。「あと1日だけ」と懇願するも「どうせそう言ってパチンコ行くんだろ?」と右手の指を全て折られました。終始「殺される」と思い心臓がドキドキしっぱなしでした。まさしく闇金ウシジマくんの世界と同じでした。
どこまでも逃げても追いかけてくるし、取り立てにはいかなる方法を使っても手段を選ばない人たちでした。もちろん、「警察呼ぶぞ」と何度も言ったことがありますがビビることはありませんでした。
借金の返済ができず、家にも帰らずほぼホームレスをしながら逃げ回っていました。そんな時に私が利用したその金融業者が違法営業により業務停止命令が出たこと、そして書類送検されたことを新聞で知りました。同時にそこに載っていた一言コラムのようなものに「闇金から借りたお金は返さなくていい」とありました。
闇金業者が業務停止になったことで私は返済を免れました。
私はギャンブル依存で借金を作り、ホームレスのような生活を余儀なくされたどん底の生活から抜け出すために、山形の実家に帰り人生をやり直すことにしました。30歳を過ぎたいい大人が親に土下座をしました。親は知り合いに頼み込んでくれて今では不動産関係の契約社員をしています。親は少ない年金を集め私の消費者金融への借金の返済もしてくれました。今回の自分自身が犯した過ちと失態を肝に銘じ、もう2度とギャンブルはしないと心に誓い、もう一度やり直そうという意味で人生の再スタートをしました。”